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みなさま、ご無沙汰しております。
東京ベジタを閉店してから
そろそろ5ヶ月が経過しようとしています。

この5ヶ月間、いろいろなことがあったりなかったり
(どっちなんだ?)でしたが
そろそろ、次のステップに踏み出そうと思います。
で、その前に、
「東京ベジタとは何だったのか」について
総括しておきたいと思うのです。

なぜ今、東京ベジタを総括するのか。
大きくふたつの理由があります。

まずひとつは、同様のコンセプトで店を開きたい人に
ひとつの事例としての情報を提供したいということです。
結果的には東京ベジタは“失敗事例”ですが
その全てがダメだったわけではありません。
うまくいった部分もあれば、ダメだった部分もある。
失敗要因を回避して、うまくいったところを参考にしてもらえれば
成功の確率は高くなるはずです。

もうひとつは、自分自身の気持ちに区切りをつけることです。
また東京ベジタの経験を整理することで
今後の活動に活かせる情報を抽出しておきたい
という気持ちもあります。

それでは早速、東京ベジタの1年間を振り返ります。
ここでは大きく3つのフェーズに分けて記述します。
けっこう長い話になると思いますが
後半で実際の原価率や売上のデータ、
閉店を決意した本当の理由なども載せていますので
もしよろしければ最後までおつきあいください。

第1フェーズ:構想からチーム編成まで

東京ベジタの構想がある程度の形にまとまったのは
2006年2月7日のことでした。
この日「東京ベジタ(仮)事業コンセプト」というタイトルで
9ページの企画書を作成しています。

東京ベジタの企画書

この企画書には、実際の東京ベジタに盛り込まれた
ほぼすべてのコンセプトが網羅されていました。
たとえば

・野菜中心のランチの提供
・従量制料金のバイキング
・グラムあたり均一の価格設定
・好きなものを好きなだけ
・持ち帰り専門(中食への特化)
・オープンキッチン

といった考え方は、すでにこの時点でできあがっています。

また1店舗あたりの事業規模については

・店舗面積 25坪程度
・スタッフ数 6名程度
・予想粗利益率 65%程度
・予想客単価 800円
・損益分岐点 月商250万円
・1日あたりの必要来客数 180名

という数字をはじき出しています。

実際には、店舗面積20坪、客単価が700円強、
損益分岐点は約350万円、必要来客数は約250人、
粗利益率はほぼ65%でした。
コストの見積もりが若干甘い感じですが
粗利率や予想客単価などは、
未経験者の予測のわりには
いい線いっていたと思います。

この企画書を作成した後、
ランチデリならまずニューヨークを見ておくべきだろうと思い
2月21日〜3月1日にかけて、ニューヨーク視察旅行へ。
その後も都内のランチ事情を調査したり
「厨房設備機器展」を見に行ったりしながら
計画をブラッシュアップしていきました。

そして最終的に東京ベジタプロジェクトの着手を決定。
3月22日には「東京ベジタ」の商標登録申請をすませています。

商標登録出願

このあたりの話は「東京ベジタができるまで」の
一連のエントリーで紹介したとおりです。

経験もなければコネもなし
まずはブログでスタッフを募集


この後、まず最初に手をつけたのが、ブログの制作でした。
飲食店を立ち上げるのに、なぜ最初にブログだったのか。
まずきちんとビジョンを語り、
そのビジョンに共鳴するスタッフを集めることが
成功のもっとも重要な鍵だと考えたからです。

私は飲食店に関しては全くの門外漢で
経験もなければコネもありません。
また店舗運営を行うには、
最低でも6名のスタッフが必要だと考えました。
ビジョンに共鳴するスタッフを集める方法として
まず最初に思いついたのが、
ブログによる情報発信だったというわけです。

実は私がブログ制作を行うのは、これが初めてでした。
最初は試行錯誤の繰り返しです。

たとえば、最初はlivedoorブログを使っていましたが
その後エキサイトブログへと移行、
最終的にFC2ブログに落ち着いています。
サービス業者の選定だけでも、けっこう悩みました。
ちなみに下に示すのは、最初のブログのタイトルデザインです。

当初のブログタイトル

ブログへのアクセスを増やすための方法も、
いろいろと試行させていただきました。
ランキングサイトの活用はもちろんのこと
mixiのコミュニティとの連動、
料理関連のブログへのコメント書き込み、などなど。
なかでも効果的だったのは、mixiとの連動です。
かなりの数の人が、mixiからアクセスしてくれました。

ある程度ブログでコンセプトを語った後、
4月24日から「創業メンバー募集」を告知。
1日1回、合計7日間に分けてエントリーを掲載し
4月30日に応募方法が発表される、という筋書きでした。
ブログを活用したスタッフ募集は予想以上に効果が高く
ゴールデンウィーク中であるにもかかわらず
わずか1週間で17名の方が応募してくれました。
この中から最初の5名のメンバーを採用することになるのです。


第2フェーズ:開店準備

採用されたメンバーにもそれぞれの事情があったため
(たとえば今勤めている職場を退職するタイミングなど)
創業チームは5月から6月にかけて、徐々に編成されていきました。

活動場所は、コピーライター時代にお世話になった
「スマート」という制作会社オフィスの一角です。
(スマートさん、ほんとうにありがとうございます!)

スマートさんでお借りしたオフィススペース

ここでメンバーが頭をつきあわせて
立地調査やランチに関する消費動向調査、
店舗ロゴの制作、店舗内の構成計画、
キッチン用品等の調達計画などを進めていきました。

またすでにブログで紹介したように
アンテプリマの店舗設計や
箱根彫刻の森美術館のカフェ設計などを手がけた
尾形曜平氏が店舗設計を担当してくれる、
という幸運にも恵まれました。
意欲的なスタッフがいることで、
プロジェクトの進行スピードがアップするということを
肌で感じ取ることができた、とても幸せな時期でした。

チーム作りで重視したのは
メンバーの自主性と健全な議論


チーム運営で特に配慮したのが、
メンバーの自主性重視と、
健全な議論ができる雰囲気作りです。

たとえば仕事をしてもらうときには
はじめから細かい指示を出すのではなく
あるていど大まかに仕事を割り振った後、
しばらくはそのまま様子を見て、
問題が発生した時点で軌道修正していく
というスタンスをとり続けました。

また店舗計画に関する意志決定も
基本的な部分はできるだけ全員参加で行う、
というスタイルをとりました。
そのひとつがロゴの制作です。
スタッフのひとりに複数のデザインを作ってもらい
それを全員で評価しながら、ひとつに絞り込んでいく
という作業を行いながら、あのロゴは作られたのです。

このようなことを繰り返すことで
全てのスタッフが意志決定の方向性を理解し、
より自主的に活動できると期待したからです。

出店場所選定では昼間人口に注目
最終的に浜松町1丁目に決定


店舗を作る上で、最も重要な課題のひとつは
やはりなんといっても、出店場所の選定です。
飲食店は「お客さまを待つ」スタイルのビジネスなので
お客さまを集められる場所が必要です。

それでは東京ベジタにとって、理想的な立地は
どのような条件を満たす場所なのでしょうか。
私は次のように考えました。

まず第1に、昼間の周辺人口が十分に存在することです。
具体的な数値としては、半径500mに4〜5万人以上
という条件を設定しました。
路面の通行量は、それほど重視しませんでした。
「フリのお客さまではなく、常連客で成立させる」
ことを目指していたからです。

第2は、できれば1階、最悪でも地下1階か2階であることです。
短時間のうちに、いかに多数のお客さまに対応できるかが
東京ベジタの成否を分ける鍵になるからです。
テイクアウト専門なので、店内の滞在時間は長くありません。
そのため1階から離れたフロアでは
階段やエレベーターが
ボトルネックになる可能性があります。

すでに「東京ベジタができるまで」で述べたように
最初は赤坂エリアを最有力候補にしていました。
しかし実際に探し始めると、
このエリアには1階物件の空きが非常に少なく
あったとしても坪単価3万5千円くらいします。
景気が回復基調にあるため
今年に入ってから空き物件がどんどん
埋まっているというのです。

坪単価はできれば2万5千円以内におさめたい。
不動産コストがかかりすぎると、
損益分岐点が上がってしまうからです。
でもできれば、1号店は港区内で開業したい。
これは企業イメージを高めるという目的もありますが
お客さまが昼食に支出できる金額は
オフィス街ではやはり港区が高いと思われたからです。

物件探しのエリアは、赤坂を起点に
港区内を徐々に南下していきました。
神谷町、虎ノ門、新橋、芝大門、そして浜松町。
この間、100件以上の物件を検討し、
実際に30件ほどの物件を訪問したと思います。
で、最終的に決めたのが、浜松町1丁目のビル1階でした。

浜松町1丁目の物件

6月23日にはこの物件の賃貸契約を締結。
これと同時に、同じビルの5階にあるオフィス物件も
賃貸契約を結びました。
ちなみに店舗物件の賃料は、
20.89坪で月額税別36万5575円。
保証金は賃料の10ヶ月分、共益費はありませんでした。
賃料月額の坪単価は1万7500円です。

新オフィスへの引っ越しは
6月26日〜7月1日にかけて実施。
またこれらの活動と並行して、
千葉県内の有機農家さん訪問も開始しています。

6月に訪問した斉藤さんの畑


楽しかった開店準備の日々
最後まで悩んだのは価格設定


8月には追加で、オープニングスタッフの募集を実施。
やはりブログで募集情報を掲載し
5名が応募してくれました。
すでに2号店の構想もあったので、
ある程度の人員数が必要だと考え、
この時は全員採用しています。

店舗工事をはじめとする開店準備は、
若干遅れがあったものの、着々と進んでいきました。

店舗工事のひとこま

引っ越し直後に女性スタッフのひとりが急性胃炎になり
そのまま出社できずに退社するといったアクシデントもありましたが、
スタッフ全員で紙袋のデザインを決めていったり
カウンターの高さや形状を考えたり、
キッチン用品を買うためにIKEAに行ったりなど、
とにかく考えることが多く、楽しませてもらいました。

キッチン設備はほとんど、
テンポスやリサイクルマートの中古品でまかないました。
食器類はほとんどIKEAで揃えました。
これらの選定では、シェフ担当の男性スタッフが
大きな貢献を果たしてくれました。

店舗工事とキッチン設備、キッチン備品など
店舗構築にかかったコストは、
合計で約2700万円ほどでした。
いま考えると、工事費はもう少し
抑えられたのではないかと思います。

紙袋の制作は、ロゴを制作した女性スタッフが中心になり
デザインの検討が進められていきました。
作成に要した金額は、10万枚で税別165万円。
1枚あたり16.5円です。
またこれを保管するための倉庫も借りました。

制作した紙袋

後から考えると、10万枚ロットで発注したのは
私の判断ミスだったようです。
結局のところ、このうち使用したのは1万枚に満たず
残りは20万円ほどかけて廃棄処分にしています。
こういうものは、たとえ単価が高くなっても
小ロットで発注すべきだということを痛感しました。

価格設定は、最後の最後まで悩みました。
東京ベジタは“グラム売り”を基本としていますが
100グラムあたりいくらにするのか、
なかなか決定できなかったのです。
妥当と思われるレンジとしては
100グラムあたり180円〜280円を考えていました。
店としては当然高い方が嬉しいのですが
コストパフォーマンスが悪ければお客さまは定着しません。

この悩みに決着をつけてくれたのは
シェフ担当のスタッフが作った試作料理の味です。
「この味なら280円でいける!」
これで価格設定は決まりです。

8月24日には店舗に厨房設備が搬入され工事が完了。
店舗外壁には、ささやかながら、オープン告知を掲示しました。

ささやかなオープン告知

8月30日に保健所の立ち入り検査、
そして開店当日の9月6日に営業許可書を受け取り
店舗面積20坪の東京ベジタ1号店が、活動を開始するのです。


第3フェーズ:開店から閉店まで

東京ベジタ1号店の開店は、
いわゆる「サイレント・オープン」を採用しました。
店頭の簡単な告知とブログでの告知の他は、
まったく宣伝を行わなかったのです。
それでも開店景気ということもあり、
来店客数の合計は95名に上りました。
また開店初日は私の知人も数多く応援に駆けつけてくれました。

オープン初日

オープン初日の店内

もちろんこれは初日だけで、翌日から徐々に客数は減り
1週間後の客数は41名にまで減少します。
しかしここで底を打ってからは、
また少しずつ客数は増えていくことになります。

最初の1週間で客数が減っていったことについては
私自身にとってはむしろありがたいことでした。
サイレント・オープンにしたのも、
最初からあまり多くのお客さまに来て欲しくなかったからです。

メンバーの中にレストラン経験者がいるとはいうものの
チーム全体としては正直にいって「素人集団」です。
まずは体勢を整え、オペレーションを確立することが
最優先事項だと考えていたのです。
そのためには客数はそれほど多くない方がいい。
しばらく1号店が赤字になるのは、最初から覚悟の上でした。
最初は赤字でも、自分たちのスタイルを作り上げながら、
段階的に収益を上げていけばいいと考えたのです。

ちなみに9月に店で提供していた料理は
下の写真のような感じでした。

9月に提供していた料理

メニューの種類は、ごはんやパスタを含め、常時30種類以上。
そのうち3〜5種類は、毎週入れ替えていました。
ご飯とパスタの種類は、1週間の中で
メニューのローテーションを組んでいます。
このようにすることで
毎日来ても違う料理が楽しめるようにしたのです。

前途洋々に見えたビジネスプラン
外部からの提携の引き合いも


1号店でどのようなビジネススタイルを作り上げるかは
その後のビジネス展開に大きな影響を与えます。
私は次のようなステップで、
そのスタイルを作り上げていこうと考えていました。

Step1〜バイキングスタイルの店舗運営の安定化
まずは東京ベジタの基本スタイルである
バイキング形式の店舗運営を安定化させる必要があります。
この形式の店舗内販売で、
昼だけで150〜200人のお客さまに対応することを目指しました。

Step2〜ランチボックスの提供
基本スタイルの運営が安定してきたら、
次にランチボックスの提供によって売上を伸ばします。
ランチボックスはバイキング形式に比べて
お客さまの回転が速いというメリットがあります。
これを1日100食売ることができれば、
日商を6〜7万円高めることが可能になります。

私の当初の見積もりでは、このStep2までで、
十分に損益分岐点に達するはずでした。
しかし実際には、バイキング形式でのお客さまの店内滞在時間が
予想より長いといった誤算もあり
仮にランチボックスを100食売ったとしても
対応できるお客さまの数は合計200〜250人が限界だったようです。
ただこの数字でも、損益分岐点にかなり近い線を
達成できると考えていました。

Step3〜商品カテゴリーの拡大
開店当初の東京ベジタの商品は、
野菜中心の総菜、サラダ、パスタ、ご飯で構成されていましたが
これにスイーツなどを加えていくことを考えていました。
これによってクロスセルが可能になり
客単価を高めることにつながります。

Step4〜営業時間の延長
ランチ営業だけの売上は、やはり限界があります。
そこでStep4として考えたのが、夕方〜夜の営業です。
実は東京ベジタは店舗設計段階から夜営業を視野に入れており
チーム内ではこれを「東京ベジタ・ソワレ」と称していました。

Step5〜提携業者を通じた外販
東京ベジタの料理を販売したい、という方は、
実は開店前からいらっしゃいました。
その方は野菜の移動販売を計画されていたのですが
「取り扱い商品のひとつとして東京ベジタの弁当を検討したい」
とおっしゃっていました。
また開店後も、別の方から
「料理の提供をしてもらえないか」
という打診を受けています。
この方は中野でメイド喫茶を経営されている方なのですが
東京ベジタの料理でランチを強化することで
売上額の増大を狙っていたようです。

Step6〜ランチボックスのデリバリー
料理をデリバリーして欲しいというご要望は
開店後かなり早い段階から一部のお客さまからいただいていました。
最終的にはこのご要望にもお応えすることで
販売量を拡大できると考えていました。

このようなビジネス拡大のステップだけではなく
顧客数を拡大するためのマーケティングプランも計画していました。

まず最初は手撒きのチラシでコアな顧客を獲得。
これと並行して「東京ベジタ通信」で情報を発信することで
既存顧客のリテンションを維持していこうと考えました。

東京ベジタ通信第1号

もちろんブログとホームページによる情報発信も
これらと並行して、継続的に行っていく予定でした。

その後は定期的にイベントを企画し、
そのうちの一部は雑誌などのメディアにプレスリリース、
パブリシティを作っていくことを考えていました。
基本となる店舗オペレーションがきちんと確立されれば
アノ手コノ手で攻めていくことができます。

でも実際には、計画されたことの一部しか実現できなかったのです。

まずビジネススタイルの拡大では、Step2までしか着手できませんでした。
計画の実施は、遅れに遅れてしまったのです。
たとえば「ランチボックス」ですが、
すでに9月には容器の選定が終了しているにもかかわらず
実際に開始されたのは11月21日でした。

11月に販売を開始したランチボックス

マーケティングプランも、どんどん遅れていきます。
実際に着手できたのは、手撒きチラシと「東京ベジタ通信」まで。
その「東京ベジタ通信」も、2号までしか発刊できていません。

なぜこのようなことになったのか。
実は私にとって、予想外の事件が起こり
店舗体勢を整えるのに時間がかかってしまったからです。

続々と倒れていくスタッフ
半分以上が2週間以上欠勤


その予想外の事件とは、
立て続けに発生したスタッフの病気でした。

まず9月15日に、女性スタッフのひとりが病欠。
彼女はその後すぐに復帰するのですが、
10月下旬から遅刻・欠勤を繰り返すようになり
後に「睡眠不足による過労」と診断されています。

9月19日には別の女性スタッフが病欠です。
彼女は「鬱病」と診断され、薬を処方されるのですが
その薬の副作用で起きあがることができなくなり
10月11日にそのまま退社することになります。

9月25日にはまた別の女性スタッフが
営業時間中に過呼吸症候群を発症。
翌日「パニック障害」と診断されます。
彼女もそのまま出勤できなくなり
10月11日に退社しています。

それでも当初から多めに人員を確保していたため、
10月上旬にはある程度オペレーションが安定してきました。
そこで10月11日から、手撒きによるチラシ配布を開始します。
これによって来客数が増えるのですが
10月23日には中止することになります。
この頃からまた、病気で欠勤・遅刻するスタッフが
目立ち始めてきたからです。

まずシェフ担当スタッフが、
喘息の発作で遅刻することが増えました。
すでに9月中旬頃からその兆候は現れていたのですが
10月には頻繁に遅刻するようになったのです。
また9月15日に欠勤した女性スタッフも
この頃から病欠・遅刻が増え始めています。

もちろん私も、手をこまねいて見ていただけではありません。
病気がちなスタッフの勤務時間を短縮したり
新規スタッフの募集を行うなどの対応を進めてきました。

12月11日には男性スタッフを1名増員しています。
しかし彼も、4日後に腹痛で倒れてしまうのです。
この頃はノロウィルスが猛威をふるっていた頃なので
保健所で検査してもらったのですが
最終的に「肝機能障害」と診断され、入院してしまいます。

また新スタッフの参加と同時に、シェフ担当スタッフが
蕁麻疹を発症して出勤できなくなりました。
その後彼は年末まで3週間、欠勤することになります。

結果的には、合計11名のスタッフを採用し、
そのうち6名が病気理由で2週間以上欠勤しています。
なお残り5名のうち1名は現役の大学生で
この時期は卒論のためあまり店には出られない状況でした。
(もちろんこのことについては、こちらも事前に了承しています。)
そのため最後までがんばってほぼ毎日出勤してくれたスタッフは
フルタイム2名、パートタイム2名、合計4名という有様でした。
営業時間中、私以外に3名しかスタッフが揃わないことも
珍しくなくなっていました。

スタッフの病気に翻弄される日々
最後は人手不足で閉店へ


結局のところ、東京ベジタは内部から崩壊していったのです。

過重労働によってスタッフが倒れるのであれば
対応の方法はいくらでも考えられます。
でもスタッフの勤務時間は、ランチ専業ということもあり、
それほど長くはありません。

勤務時間は、フルタイムスタッフで朝7時から夕方4時まで、
土日や祝日は、私以外のスタッフはお休みです。
実際には片づけに時間がかかり、
夕方5〜6時くらいまでかかることも多かったのですが
それでも1週間あたりの実働時間はせいぜい50時間程度、
60時間にはぜんぜん達していなかったはずです。
もちろん開店当初は残業が長引きましたが
それも2〜3日で落ち着いています。
決して過重労働というわけではないと思うのです。
実際に、フルタイムスタッフの中には、
最後まで無遅刻・無欠勤を通した人もいます。

それなのになぜ、他のスタッフが次々と病気になるのか。
ひとつの仮説としては、
すでにそれぞれのスタッフが持っていた潜在的な要因が
新店立ち上げというストレスで顕在化したのかもしれません。

たとえば「睡眠不足による過労」と診断されたスタッフは
家庭内の事情で寝る時間が遅くなっていたといいますし
「鬱病」と診断されたスタッフは、やはりそれまでにも
家庭の事情で落ち込みがちだったと聞いています。
また「過呼吸症候群」になったスタッフは、
話を聞くとこれまでにも同じことがあったといいます。
そしてシェフ担当スタッフの蕁麻疹は、
彼の持病である喘息が関係しているらしいのです。

それでも、これだけ多くのスタッフが
集中して発病するのは、やはり不思議です。
なぜこうなったのか、実はいまでもわかりません。

このような事態に遭遇したのは私自身初めてであり
当然ながら想定外でもあったので
飲食店経営者や会社社長、経営コンサルタント等
何人かの知り合いにも相談してみました。
でも誰もが「そんな話は聞いたことがない」といいます。
なかには「お祓いをした方がいい」とおっしゃる方や
「気の流れが見える先生を紹介する」とおっしゃる方も
いらっしゃいました。
それでも「やめると決めるまではがんばろう」と考え
12月後半にはスタッフ増強のために新規募集を実施。
しかし結局、2007年元旦に閉店を決意します。

1月4日にはスタッフを集め、閉店の段取りを決めます。
そして1月16日、東京ベジタは最後の日を迎えることになるのです。

東京ベジタ閉店

もちろん閉店に至ったのは、スタッフのせいではありません。
最大の問題は、このような事態に適切に対応できず
チームの崩壊をくい止めることができなかった、
私の経営者としての力不足にあります。


東京ベジタの原価率と売上推移

東京ベジタを開店している間、
お客さまからよく「利益は出ているのか」とか
「経営は成り立っているのか」と聞かれました。
結局は閉店してしまったので
「やはり経営は難しかったのか」と
思われていると思います。
でも正直に申し上げると、
スタッフの病気で体勢を整えられなかったことを除けば
かなりいい線いっていたと思います。

農地からの直接仕入れで
低く抑えられた食品原価率


まず弁当店で難しいと言われるのが、粗利の確保です。
お客さまの中にも「原価率が高いのでは」
と心配してくださる方が少なくありませんでした。
でも実際には、原価率はそれほど高くありません。

まず食品原価率ですが、12月の時点で27%でした。
また弁当箱や箸、スプーン、ナプキンなど
食器類の原価率は7%程度です。
合計で34%、つまり粗利率は66%を確保できていました。
なおこの時点でロス率が3割以上あり
調理ロスよりも売れ残りロスの方が大きかったので
客数が増えて商品の回転数が高まれば
確実にロスを低減できることはわかっていました。
最終的には食品原価率を20%近くまで
食器類と合わせても30%以下にすることが可能だったと思います。

なぜ食品原価率をここまで抑えられたのか。
ポイントは農地からの直接仕入れにあります。
有機野菜を扱う流通業者から仕入れた場合には、
食品原価は3倍近くにまで跳ね上がります。
有機農家のみなさんの協力を得られたからこそ
品質の高い有機野菜を、低コストで入手できたのです。

丸ちゃんの畑

もちろんそのために、毎週のように農地に行き
有機農家さんと話をする機会を設けました。
でもこのような活動を継続したのは
単に原価率を下げるためだけではないのです。
東京ベジタのコンセプトの中には
有機農家さんと消費者との間の架け橋になることで
有機農業を促進したい、という気持ちが含まれています。
環境問題を考え続けることは
いまでも私にとって、重要なテーマです。

開店3ヶ月目で70〜90人の客数
そのほとんどがリピーター


次に売上の推移を見ていきましょう。
下に示すのは、1日あたりの顧客数、売上、平均客単価の推移です。
トレンドを把握しやすいように
5日間と20日間の移動平均を取っています。

1日あたりの客数の推移

1日あたりの売上金額の推移

20日間の移動平均グラフを見ると、
客数、売上ともに徐々に上昇していることがわかります。
前半に比べて後半の上昇カーブが鈍っていますが
これは前半に手撒きチラシ配布を行った効果が現れているのに対し
後半では積極的なプロモーションを行っていないからです。
また5日間の移動平均を見ると、
後半の変動が小さく、安定していることがわかります。

ちなみに12月の1日あたりの客数は、
70〜90人強で推移しています。
しかも私がレジから見る限り、そのほとんどがリピーターであり
半分以上はほぼ毎日いらっしゃるお客さまです。
なかには開店時からほぼ毎日通ってくださった方もいます。
この方は男性なのですが、おそらく4ヶ月間の合計で
7万円くらいを、東京ベジタのランチに使ったと見ています。

11月7日には「紙袋リユースプログラム」を開始していますが
東京ベジタの紙袋を持参してくださるお客さまも多く
12月には全体の半分を超えていたと思います。

実はこの紙袋は、お客さまからの「もったいない」の声が多く
「制作したのは失敗だったかな」とも思ったのですが
リユースプログラムを導入することで
お客さまのリピート率を高める結果になったようです。
私は前述のように、最初の企画段階から
「東京ベジタはフリのお客さまではなく
 リピーターで成立する店にする」
と考えていましたが、
ほぼその通りの結果になったと自負しています。

リピーターが多かった理由としては
コンセプトが受け入れられたことはもちろんですが
適正なコストパフォーマンスを追求したこと、
機動的かつ有機的に動いてくれたスタッフのがんばり、
そしてお客さまとのコミュニケーションを重視したこと
などが挙げられると思います。

たとえばコストパフォーマンスですが、
開店直後は客単価が880円近くになっており
ちょっと高すぎる、と判断しました。
商品のレイアウトが適切でなかったため
取りすぎてしまうお客さまが多かったのです。
そこですぐに商品のレイアウトを変更し、
平均客単価が700円強になるように調整しています。
この後、スイーツを導入することで
平均客単価を800円に近づけようと考えていましたが、
前述のようにこれには着手できませんでした。

スタッフのがんばりについては、
店に来てくださったお客さまが、よくおわかりだと思います。
後半は人手不足の状況が続きましたが
足りなくなったスタッフの分も積極的に補完してくれました。
シェフ不在の間も、残ったメンバー全員で
新レシピを考えてくれました。
本当に感謝しています。

数多くいただいた応援レター
差し入れをくださるお客さまも


コミュニケーションに関しては、
ブログやホームページでの継続的な情報発信はもちろんのこと、
店舗での対話をスタッフが積極的に行ったことも
重要なポイントだったと思います。

すでに以前のエントリーにも書きましたが
私が東京ベジタを企画するにあたって重視したことのひとつが
顧客とスタッフとの間の壁をなくしていく、ということでした。
サービスを受ける側と提供する側が、
フレンドリーにキモチをやり取りする。
これが東京ベジタの理想的なサービススタイルなのです。
東京ベジタのスタッフはこれを実現してくれました。
もちろんこれを受け入れてくださったお客さまの存在も
大きなものだったと思います。

このような関係が成立していた証拠に
お客さまからは数々の差し入れ(おみやげ)や
励ましの手紙をいただきました。
以前このブログに「柚万寿」をいただいた話を載せましたが
他にもケーキやドーナツ、林檎などなど、
さまざまな差し入れがありました。

下の写真は、前述の柚万寿と、お客さまからの手紙。

お客さまからの手紙と柚万寿

こちらは別のお客さまからいただいた、
手作りクッキーの差し入れです。

別のお客さまからのクッキーの差し入れ

応援メッセージも、10通以上いただいています。
これらはすべてラミネート加工して保存してあります。
またレジのやり取りで、お客さまから
「ありがとう」と言われることが多かったのも
強く印象に残っています。

開店からわずか4ヶ月間で、
このようなお客さまに恵まれた店が
他にあるでしょうか。
それもランチ専業、しかも単刀直入にいってしまえば
東京ベジタは“単なるお弁当屋”です。
店内にはお客さまが座る席もなく
店内の滞在時間も1回あたり数分〜10分程度です。
私たちは実にいいお客さまに恵まれていた。
これははっきりと自慢できるポイントです。

これだけいいお客さまに恵まれていれば
店を成功させることは決して不可能ではないと思います。
私としては、最初の2〜3ヶ月で
1日あたりの顧客数が100人を突破すれば
その後の3〜4ヶ月で損益分岐点近くまで行くはずだと考えていました。
もちろんそのためには、積極的なプロモーションが必要です。
まだ東京ベジタに来てくださらないお客さまに
東京ベジタの存在を“発見”していただかなければならないのです。

ただしこれを行うには、オペレーションの安定が必須条件です。
前述のように、この条件を満たすことができなかったため
積極的なプロモーションには着手することができませんでした。
これは今でも残念です。

ちなみに10月に実施した手撒きチラシですが
配布した枚数は合計約800枚で
一時的に1日の客数が40人増加、その後落ち着いて
配布前に比べて20人増加、という結果になっています。
配布枚数が少ない割には、悪くない数字だと思います。

なお最終日のお客さまの数は、149人でした。
このうち10人近くの方のお顔は記憶にありませんでしたが
残りの方は、これまでに何度も来店くださったお客さまでした。

開店3ヶ月目のリピート顧客数の推計

では実際に、東京ベジタのリピート顧客の数は、
どれだけ存在していたのか。
ここで簡単な推計を行ってみたいと思います。

まず手がかりとなる数字は以下の通りです。

・12月の時点で、1日あたりの平均客数は約80人。
・そのうち半数が毎日来店するヘビーなリピーター。
・最終日には、140人のリピーターが来店。

ここで客数の分布について、次のモデルを使ってみたいと思います。

・毎日来店するお客さまが40人存在する。
・n日に1回来店する客数は、毎日来店する客数に比べて
 αの(n-1)乗倍になる(αは1より小さい数字)。
 つまりn日に1回来店する客数は、
 nが増えると共に指数関数的に減っていくと考える。

これをグラフにすると、次のようになります。

客数分布モデル

ここでn日に1回来店する客数をf(n)としましょう。
上記のモデルに基づけば、
f(n) = 40×α^n
となります。(α^nは、αのn乗を意味します。)
リピート顧客の合計は

リピート客合計の数式

となり、このリピート顧客によって構成される1日あたりの客数は

1日あたりの客数の数式

となります。
ここで、1日あたりの客数が80人になるようにαの値を求めれば
リピート顧客の総数が推計できます。

Excelで実際に計算してみると、α=0.91 で
1日あたりの客数が約80人になります。
この時、リピート客の合計は 165人となります。

まあ、この推計はフェルミ問題に似たところがあり
厳密に考えればモデルの妥当性から検証する必要がありますが
数字そのものは、それほどマトハズレではないと思います。


改めて、なぜ撤退を決意したのか

私の計画では、1店舗目は損益分岐点トントンか、
ちょっと赤字、といった状況で、
2号店の準備に入るつもりでした。
本部費に計上されている経費が比較的多かったので
2店舗目以降で利益をだしていく、という考え方です。

またこの段階に到達するまでの期限を
開店から半年と設定していました。
つまり2007年3月までに1号店の損益分岐点が見えてこなければ
撤退すべき、というのが私の当初からの考えだったのです。
ここで「見えてくる」というのは、必ずしも「達成」を意味しません。
「これならいけそうだ」という勢いを感じられれば
次のステップに進んでもいいだろう、ということです。

しかし2006年12月の段階で、店舗オペレーションの体勢を
整えることはできませんでした。
シェフを担当してくれていたスタッフも、
今後はたぶんあてにすることはできないと思われました。
つまりここで、一度チームを再編成する必要があったのです。

チーム再編を行い、オペレーションを安定化させ
さらにプロモーション活動を行ったとして
果たして2007年3月までに損益分岐点が見えてくるか。
12月末の段階で私が下した判断は“否”でした。
たとえスタッフを補充したとしても
また同じこと(病気で倒れてしまう)が起きないとは限りません。
根本的な原因を究明できていないのであれば
同じことが繰り返される可能性は決して低くないのです。

正体不明の敵に直面し、対応方法がわからない場合、どうすべきか。
私の基本的な考え方は「三十六計逃げるに如かず」です。
ここはぎりぎりまでねばるのではなく、
いったん総退却し、改めてチャレンジすべきだと考えます。

ツキが離れていると感じたことも
撤退を決意した理由のひとつ


実は撤退を決意した理由が、もうひとつあります。
それは「ツキが離れている」と感じられたからです。

この「ツキ」という感覚は、
説明しても理解してもらいないかも知れません。
でも私は、ツイているかどうかを、とても重視しています。
言い方を変えれば、
「きちんと波に乗っているかどうか」という感覚です。
ビジネスを成功させる上で、この感覚は
非常に重要なものだと考えているからです。

私の感じたところでは、
東京ベジタの拠点を浜松町に移したころから
どうも調子が悪くなっていったみたいです。
ひとつひとつの事件は小さなものなのですが
「なんだかへんだなあ」と感じられることが
立て続けに起こっていたのです。

2006年11月くらいからは、
「逆風に向かって走っている」感じでした。
たとえば採用した従業員が半数以上病気になるなんて
ふつうなら考えられませんし、
私も予想だにしていませんでした。

もちろん実際にツキというものがあるのかないのかは、
いろいろな議論があるところでしょう。
またこんな理由でビジネスを左右するのは
間違っているという意見もあると思います。

でも私は、ビジネスをやっていてツイていないときには
「このビジネスはおまえに向いていないからやめるべきだ」
というメッセージだと考えます。
そして「ヤバイ時にはできるだけ早く撤退する」ということは
ビジネスの世界で生き残るための鉄則だと思うのです。

このような状況をふまえた上で、
あらためて「ゼロベースで東京ベジタを続けるべきなのか」
と自分に問いただしてみました。
その結果、私の出した答えは「No」でした。
すでに「東京ベジタ」はビジネスではなく
いい言い方をしても「ボランティア」
アリテイに言えば私の「道楽」といった状況でした。

最後まで一所懸命がんばってくれたスタッフには申し訳ないのですが
道楽のまま「東京ベジタ」を続けることはできません。
たぶん長期的には利益を出すことも可能だと思うのですが
私自身はここできちんと
けじめをつけなければならないと考えたのです。


そして、東京ベジタ総括

さてここまで、主に時系列で東京ベジタを振り返ってみました。
ここでいまいちど、今度は別の視点から東京ベジタを整理し
どの部分が成功し、どの部分が失敗だったのかを
明確にしておきたいと思います。

東京ベジタプロジェクトを構成していた要素は、
下の図のように、大きく6つあったと思います。
これらの各要素について、
どれがうまくいって、どれが失敗だったのかを
ひとつずつ検証していきましょう。

東京ベジタの構成要素

まず「自律性の高いチームの実現」ですが
これは明らかに失敗だったといえます。
自律性を重視した企業文化は創れたと思いますし
チームの雰囲気も非常によかったと思うのですが
そのチームを“物理的に”維持することができなかった。
いくら優秀なスタッフが在籍してくれても
出勤してくれなければ、使いようがないのです。
今後は採用の方法から全面的に見直さなければなりません。
でも次は、もっとうまくやれると思います。

次に「有機農家さんとの連携」ですが
これは初期段階のプロセスは成功したといえるでしょう。
毎週のように農地に出向き、有機農家さんと会話することで
彼らがどのような問題を抱えているのか
どのような提案をすると喜ばれるのか、
といったことを理解できました。

たとえば東京ベジタでは、
質の高い有機野菜を安価に仕入れることができましたが、
その理由のひとつが「規格に注文をつけなかった」ことです。
有機農法では大きさや形を揃えることが簡単ではなく
通常のルートでは出荷できない「規格外品」が
かなりの量発生します。
東京ベジタはこの「規格外品」を引き受けることで
仕入れコストを下げていたのです。

「野菜中心の高品質なランチの提供」
自画自賛になってしまいますが、成功していたと思います。
私自身、東京ベジタの料理が食べられなくなったことが
今でもいちばん残念です。

「コアなリピート顧客の獲得」は、
私自身はほぼ成功したと考えています。
それほど積極的なプロモーションをかけていないのに
開店3ヶ月で推計165人のリピート顧客がいたのは
なかなか悪くない数字だと思います。
初期段階のブランディングには
そこそこ成功していたといえそうです。

ブランディングはいろいろな定義がありますが、
「顧客や潜在顧客のココロの中に食い込むこと」
こそがブランディングだと、私は考えています。
東京ベジタは、その数は必ずしも多くはありませんでしたが
間違いなくお客さまのココロの中に食い込んでいました。

ブランディングを成功させるには、
商品やサービスが十分なクオリティを持つことが前提ですが
顧客との心理的なつながりも重要なポイントです。
東京ベジタは、明確なコンセプトを打ち出すと共に
さまざまな形のコミュニケーションを行うことで
これを実現していたのだと思います。

もちろんこのブログの存在も大きな貢献を果たしたはずです。
「ブログを見ていますよ」と声をかけてくださる客さまも
少なくありませんでしたし
ブログやホームページのアクセス数も
客数の増大と共に増えていました。
ブログやホームページは、戦略的に活用することで
お客さまと「キモチを共有する」強力なツールに
なり得ると考えています。

「プロモーション活動による顧客層の拡大」
実際に着手できなかったので、評価できません。

「収益の確保・ビジネスの継続」は、
いうまでもなく、完全なる失敗です。
ビジネスの継続ができなかったのはもちろんのこと
最終損益も、5千万円近くの損失でした。
今回は外部からの出資も、融資も受けていなかったので
すべて私個人のオカネでまかなったのですが
個人で背負うには、けっこう痛い金額です。
でも、今回の経験で改めて学んだことや、
以前から持っていた仮説の検証なども行えたので
そのための授業料だと思えば、
それほど悪くなかったのではないかと思っています。

さて、以上6つの要素について評価しましたが、
この他にもうひとつ、述べておきたいことがあります。
それは人との出会いです。

東京ベジタのプロジェクトを通じて、
実にさまざまな人々に出会うことができました。
これは大きな収穫だったと思います。
出会った人の中には「東京ベジタに出資したい」
という方もいらっしゃいました。
「先行きのわからないうちは自己資金でやるべき」
というのがビジネスに対する私の基本的な考え方なので
このお申し出はお断りさせていただいたのですが
それでも非常にありがたい話だったと思います。


これでおしまい

さて、ずいぶんと長々と書いてきましたが、
そろそろ「東京ベジタ総括」を終了します。
おつきあいいただき、ありがとうございました。
東京ベジタに参加してくれたスタッフのみなさん、
東京ベジタを受け入れてくださったお客さま、
プロジェクトに協力してくれた方々すべてに
感謝しつつ、筆を置きたいと思います。

私の勝手な希望としては、
東京ベジタのような店にチャレンジする人が
私以外にも登場することを望んでいます。
私は「組織の維持」という基本的な部分で失敗してしまいましたが
最初の数ヶ月で従業員の半数が病気になるなんてことがなければ
同様のアプローチで利益を出すことは可能だと思います。

「東京ベジタ計画」はこのエントリーをもって終了いたしますが
その後の私の活動は、以下の新ブログでご報告していく予定です。

「おきらくたぬきの自転車操業でなおし日記」

閉店後のあれこれや、いま私が何を考えているのか、
新しいビジネスプラン等々、
また改めてお話ししたいと思っておりますので
もしよろしければ、新しいブログものぞきにきてください。

なおこのエントリーの掲載にあたり
スタッフの個人情報が含まれる過去のエントリーを
非公開にさせていただきました。
過去のエントリーを読まれる方は、
この点をあらかじめご了承ください。

それではみなさま、ハッピーな人生を!